ふたつの鉄道雑誌「旅と鉄道」

2017年12月26日

鉄道ジャーナル 2016年 05 月号 雑誌

前にも話しましたが、鉄道雑誌のひとつに「旅と鉄道」という雑誌がありました。こう書くと「えっ、今でも本屋に行けば同名の雑誌がありますよ」という人もいるでしょう。実は私が読んでいた『旅と鉄道』と今の『旅と鉄道』は全く別物なのです。前者は、鉄道ジャーナル社が雑誌『鉄道ジャーナル』の姉妹誌として出されていました。しかし、出版不況の影響で2009年に休刊になってしまいました。そして、現在の『旅と鉄道』は朝日新聞社の出版です。ですから、鉄道ジャーナル社は朝日新聞社の『旅の鉄道』を復刊とはみなしていません。

私が衝撃を受けたのは小学校5年生の時に買った、青春18切符を特集した『旅と鉄道』。もう、雑誌を置くスペースが書棚になかったので古本屋で売りましたが、今でもはっきりと内容は覚えています。その中で特に印象深かったのは青春18切符を使った旅行の立て方。今でも青春18切符の旅行の立て方は本屋でもよく見かけますし、ネットでも見かけます。しかし、その内容は全く異なっていたのです。列車の計画はもちろんでしたが、宿の種類にも詳細に書かれていたのです。安宿の注意点や旅館のことなど。そして、青春18切符で役に立つワンポイントアドバイスもありました。小学生の時に隅から隅まで読んだ記憶があります。これを書いた筆者は忘れましたが、明らかに鉄道ライターの種村氏の影響を受けたことは推測できます。

鉄道ライター種村直樹氏は自身のことを「レイルウェイ・ライター」と称し多くの旅行記を残しました。宮脇俊三氏と並んで鉄道ライターの草分け的存在です。種村さんの大きな功績は鉄道旅行のノウハウを一般の方に教えたことです。列車の選び方から、時刻表の読み方、旅程の立て方、持ち物、宿の考え方、鉄旅と郵便との関係、旅行後の整理など事細かく書かれたノウハウ本は今でも高い評価を得ています。種村さんのスタンスと『旅と鉄道』のスタンスがよく似ていたのです。

なので、旅行記も車両のことは書かれてあっても、決してマニアックではないのです。むしろ、旅行者向けの姿勢、例えば、座席の質、食堂車の雰囲気、その列車を楽しむコツなど、そのようなところに重点を置いていました。言い換えれば実用的なアドバイスなので鉄道旅行には大いに役に立ちました。

時代は変わり、新たな新幹線が登場し、画一化された電車がどんどん登場しています。2011年に種村さんが亡くなりました。もしかすると、効率化が進みすぎてそのようなノウハウ本や雑誌は需要が少なくなったのかもしれません。