日本で一番短かった鉄道 紀州鉄道

2017年12月26日

紀州鉄道 御坊駅〜西御坊駅 (鉄道の車窓vol.16) [DVD]

今回は、和歌山県にある紀州鉄道を取り上げたいと思います。「紀州」と書いてあるので、和歌山県を横断する鉄道かな、と想像される方もいるでしょう。残念ながら、和歌山県を横断するどころか、たった2.7キロ(御坊~西御坊)の路線しか保有していません。それでも、紀州鉄道は大阪梅田にオフィスを構えているのです。これだけ書くと、不思議でたまらないでしょう。実は、紀州鉄道の本職は不動産業なのです。もともと、紀州鉄道の前身は御坊臨海鉄道という純粋な鉄道会社でした。ところが、御坊臨海鉄道の経営は苦しくなり、あわや廃線まで追い込まれました。1973年(昭和48)年に紀州鉄道に譲渡。和歌山県内にあった私鉄、有田鉄道や野上電気鉄道は消滅しましたが、紀州鉄道は不動産業があるので、今でもしぶとく生き残っているのです。

私は小学生の時、祖母と一緒に紀州鉄道に乗りに行きました。まずはJRで御坊まで行きます。和歌山では数ヶ月前に紀勢本線から運用を外れた165系が留置していました。「もう少し早く来とけば、165系に乗れたのに」と思い、後悔しました。さて、御坊駅に着くと、JRのホームの端に小さなディーゼル車が止まっていました。これが紀州鉄道の車両なのです。JRと比べると、少々みすぼらしく見えます。車体の上部は白、下部は緑、窓が2枚という典型的な湘南型の車両です。車内に入ると、床は木でした。これにも驚きました。ニスの匂いが車内を包み込みます。窓は開けており、初夏の気持ちのよい風がどんどんと入ってきます。発車すると、路盤が悪いせいか、左右に大きく揺れながらゆっくりと進んでいきます。学問駅というユニークな小駅を通り過ぎると、紀伊御坊駅に到着。紀伊御坊駅は近代的な立派な駅舎です。紀州鉄道に移管されてから、建てられた駅舎です。「こんなに小さな鉄道なのに、このような立派な駅舎は必要なのかな」と思ってしまいました。紀伊御坊を発車すると路地裏のような路線をゆっくりと進んでいきます。市役所前というバス停のような駅を通ると、あっという間に終点の西御坊駅に到着。駅舎は微妙に傾いていました。阪神大震災を体験した身から見れば、「この建物、地震に耐えられるのかなあ」と心配になりました。周辺は変哲もない民家が立ち並びます。それでも、のんびりとしておりいい雰囲気でした。

「残念ながら」2002年に2.2kmの路線、芝山鉄道が開業。「日本一短い鉄道」ではなくなりました。それでも、「日本一短いローカル線」には変わりありません。