改善されるのかセルビアの鉄道

2017年11月29日

セルビアを知るための60章 (エリア・スタディーズ) | 柴 宜弘, 山崎 信一 |本 | 通販 | Amazon

昨年、旧ユーゴスラビアの中心国であったセルビアを周遊しました。ハンガリーのブダペストからベオグラード行きに乗ったわけですが、とにかく遅い。250kmで8時間も要したのです。特にセルビア側の鈍足に驚きました。この経験を基にセルビアの鉄道を調べていくと、驚きの事実が発覚したのです。今回は、セルビア国鉄の調査の結果をまとめていきたいと思います。

セルビアで今後力を入れるのは正にブダペストからベオグラードの区間です。この路線は汎ヨーロッパ第10回廊として、ヨーロッパ全体から見ても極めて重要な路線。この路線を高速化するために、2010年に中国と覚書を、2013年にロシア鉄道インターナショナルと鉄道近代化協定を結びました。計画ではブダペスト~ベオグラード間のセルビア側を複線にする、そして営業最高速度を200km/hまでに引き上げる予定。将来的に現在の8時間から2時間40分に短縮されます。もちろん、ハンガリー側も中国の力を借りながら近代化が進められています。また、線路を近代化するだけでなく、国境審査の簡素化も必要になるでしょう。

仮に上記のプロジェクトが成功し、ブダペストからベオグラードまでが2時間40分で結ばれると、人、物の動きが大きく変わることが予想されます。観光面で考えるとブダペストから日帰りでセルビアのノヴィ・サドやベオグラードの観光が楽しめるように。そうなると、セルビア側も観光により一層力を入れるでしょう。車両はセルビアの政治的立場を考慮すると、中国やロシアで作られた車両を導入すると思います。仮に中国製の高速列車が導入されるとなると、ヨーロッパ初の事例ではないでしょうか。

一方、近郊輸送の近代化は確実に行われています。2010年にはロシアからディーゼルカー2両編成12本が輸入され、ベオグラード~ヴルシャツ間に投入。ピカピカのディーゼルカーが投入された結果、この区間の乗客数が大幅に増加しました。2013年にはスイス製の電車21本が投入されている。今後も新車の投入が続く予定です。

他の区間に関しても速度向上など近代化計画が進められています。これらの計画が完遂されると、競争力が落ちているセルビアの鉄道が復活することは確実です。しかし、ヴァリェボ~ロズ二ツァ間のようにトンネルと橋梁が多い箇所では工事が一向に進んでいません。セルビアはこのような路線が多く、難工事が予想されます。

いずれにせよ、どのようにセルビアの鉄道が近代化されるか、注意深く見守っていきたいと思います。