キハ35という不思議な気動車

2017年11月29日

Nゲージ 6075-2 キハ35 首都圏色

今回はキハ35という気動車を取り上げたいと思います。キハ35はオリジナリティーあふれる気動車ですが、なぜか地味な存在に成り下がっています。たまには、キハ35にスポットライトを当ててもいいのではないでしょうか。

キハ35は現代でも珍しい通勤型のディーゼルカーです。デッキなしの3扉にオールロングシート。車体の形は103系を思い起こさせる四角形をしています。そして、申し訳なさそうに方向幕が付いているのがポイント。この方向幕、写真を見ると「普通」もしくは白幕しか見たことがないので、あまり重要視されてこなかったのでしょう。あと、キハ35で忘れてはならないのがドア部の箇所に「外吊り式」を採用したこと。これは、ドア部に設けたステップと密接な関係があります。当時、気動車が走る駅の多くが客車用の高さが低いプラットホームでした。気動車は客車用のプラットホームに合わせるためにステップが必須だったのです。しかし、デッキなしの扉にステップを設けると強度が減ってしまいます。そこで、「外吊り式」を採用することで強度を保とうとしたのです。「外吊り式」の採用により強度は保てましたが、すきま風がドア部から入るようになり、乗客からは不評だったそうです。

デビューは昭和36年、当時非電化であった関西本線(湊町~奈良)に投入されました。当時、関西本線の乗客数は増加していましたが、設備が全く追いついていませんでした。車両は蒸気機関車に引っ張られる旧態依然とした客車。一方、関西本線とライバル関係の近鉄奈良線には快適な電車がたくさん走っていたのです。そうかと言って、関西本線を電化するのはもったいない。そこで、通勤型気動車、キハ35が製造されたのです。

キハ35はグループ総数400両以上も製造され、全国各地で活躍しました。しかし、電化が進むと、どんどんキハ35は廃車になっていったのです。「このまま、急激に減るのか」と思いきや、2000年代までしぶとく残りました。関東では千葉県を走る久留里線、関西では和田岬線で最後の活躍を続けたのです。また、JR以外ですと関東鉄道に譲渡されたキハ35が2011年まで活躍しました。「老朽化はしているが、このピースを埋めるだけの目的で新車を作るのはもったいない」そのような考えでキハ35はしぶとく生き残ったのでしょう。もしかすると、日本ご自慢の「もったいない」はキハ35のためにあるような単語なのかもしれません。