なぜ特定区間の運賃だけを安くするのか

2017年11月29日

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鉄道会社は基本的に、距離に応じた運賃を設定しています。したがって、鉄道で移動する距離が長いほど運賃が高くなります。また、多数の路線を持つ鉄道会社では、路線ごとに乗客数が異なることから、路線ごとに距離別の運賃に差をつけている場合があります。しかし、これ以外に、特定の駅間だけの運賃を安く設定している鉄道会社もあります。では、なぜ特定区間の運賃だけを安くするのでしょうか。

複数の路線を持つ鉄道会社では、多かれ少なかれ、収益率の高い「ドル箱路線」を持っています。ドル箱路線は多くの収益を上げてくれる貴重な存在である一方で、沿線人口が多いことなどを理由に、他の鉄道会社も付近に路線を持っている場合があります。こうなると、鉄道会社間での乗客獲得競争が激しくなります。乗客を獲得するためには、停車駅を工夫したり、車両の快適性を高めたりといった工夫ができますが、運賃を値下げする方法もあります。ところが、鉄道会社の運賃体系全体にわたって値下げを実施すれば、ドル箱路線での競争力は高まるものの、その他の路線で採算が合わなくなる可能性があります。こうなると、せっかくドル箱路線で多くの乗客を獲得しても、鉄道会社全体としては収益が縮小してしまいかねません。そこで、ドル箱路線の特定区間のみに安めの運賃を設定し、競争力を高める方法があります。もっとも、乗客の多い区間で運賃の値下げ競争が過熱すれば、競合路線とともに収益が減ってしまいかねません。そのため、特定区間の運賃値下げは過度な競争にならないように注意が必要です。

特定区間の運賃を安くすることで、思わぬ矛盾が生じることがあります。というのも、特定区間外から区間内へ移動する際に、特定区間内の切符と区間外の切符を組み合わせたほうが、運賃が安くなる場合があるからです。特定区間からやや外れた地域に住んでいる人は、特定区間に入っておらず割引運賃の恩恵を受けられないと思ってしまいがちですが、場合によっては特定区間の運賃値引きの恩恵を受けられる可能性があります。自宅付近に特定区間がある人は、一度チェックしてみる価値があるといえます。