フリーゲージトレインの長短について考える

2017年11月29日

Amazon | フリーゲージ・トレインが運ぶ北海道の未来~北海道の新幹線を200%活用する~ | 佐藤馨一, 中添 眞 | 交通 通販

 長崎新幹線でフリーゲージトレインの導入が断念されることになりました。秋田新幹線や山形新幹線では導入された仕組みだけに、導入断念に疑問を持つ人もいるでしょう。そこで、フリーゲージトレインの長短について考えてみます。

 メリットは、在来線区間と通常幅の新幹線区間を乗り換えなしで走破できる点です。乗り換えが発生すると乗客の利便性は低下します。指定席が中心の新幹線では乗客をすべて下したのち、再びそれぞれの指定席に座ってもらわなければなりません。乗り換えに時間がかかればそれだけ所要時間も長くなります。

 もちろん、地方部の新幹線なら乗客もそれほど多くないので問題ない、という意見もあるでしょう。しかし、乗り換え損ねる乗客がいないか車内を点検するのに一定の時間がかかります。また、帰省シーズンなどの繁忙期には大きな荷物を持った乗客が多数移動するため、ホームの混雑にもつながります。乗り換えがないことは多くの面で優れているのです。

 しかし、フリーゲージトレインには致命的なデメリットがあります。それは、開発コストが高いことです。フリーゲージは複数幅の線路を走行できるつくりにするため、構造が複雑になってしまいます。通常の車両には見られない構造のため少量生産になり、さらにコストを上昇させてしまいます。

 そもそもフリーゲージトレインが導入される区間では、フル規格の新幹線を整備するほどの需要がないと考えられているケースが多いです。そのため、高コストの車両を導入すると、コストを回収できるだけの料金収入を見込みづらいのです。

 もちろん、赤字になっても新幹線が走る意義はある、と考えられるかもしれません。沿線地自体の魅力が高まれば、自治体が資金援助する意義は見いだせるからです。しかし、個人的な意見としては、フリーゲージにするくらいなら通常の特急列車でよいのではないか、と考えます。高コスト車両の開発にかける費用があるなら、特急列車の割引切符の発売や車両設備の充実、運転本数の増加をしてもらいたいと思います。