既存新幹線の高速化は必要か?
JRは新幹線技術を向上させ、最大自足を360キロに引き上げることを目指しているようです。鉄道において速達性の確保は乗客からの評価を高めます。しかし、すでに速達性には定評がある既存新幹線を高速化する必要はあるのでしょうか。
そもそも、リニア新幹線が開通することで東京―名古屋間の速達性は飛躍的に高まります。従来の新幹線も着実にスピードアップしてきたことから、「遅い」という評価が下されることは少ないです。鉄道会社としても停車駅を増やす取り組みをしてきたことから、速達性を最重要とは位置付けていないようです。
航空機との高い競争力を有する東海道新幹線以外ではメリットがあるのではないか、という意見はあるでしょう。例えば延伸が進められている北海道新幹線では、速達性を確保して東京―札幌間を4時間以内で結ぶことができれば、航空機利用者を取り込みやすくなります。しかし、新幹線のメリットは速達性にあるのでしょうか。
新幹線は飛行機と比べて最高速度は遅いです。しかし、空港に比べて駅へのアクセスは格段にしやすいです。トータルでの所要時間が長くなっても、飛行機よりも新幹線を選ぶ人はいるでしょう。車内設備が充実していることで仕事等に取り組みやすい点も新幹線のメリットです。飛行機でも充実した設備がある機体も見られますが、離陸・着陸の際に安全確保が優先されることなどから時間を効率よく使いづらいこともあります。
また、地面の上を走る新幹線は、気流の影響を受ける飛行機よりも定時性が高いです。天候が悪化した際に飛行機は離着陸が難しくなり欠航しがちです。新幹線は多少天候が悪くても線路上を走るため安全運航できます。万一車両トラブルが発生しても代替車両を活用しやすいです。
もちろん、速ければ速いほうが良いかもしれません。しかし、安全性の確保やその他の利便性アップのほうが乗客のニーズに合っているのではないでしょうか。駅改良で在来線からの乗り換え時間を短縮するなどの取り組みにより力を注いでもらいたいところです。