新路線への加算運賃の是非について考える

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 先日、京王相模原線の加算運賃が引き下げられるとのニュースがありました。鉄道運賃は値上がりこそすれ、値下がりするケースはまれなので驚きを感じた方もおられるかもしれません。

 加算運賃とは、新路線の建設費を賄うための割高な運賃を意味します。通常の距離別運賃に加えて支払うことになるのです。鉄道ビジネスにおいては、線路の敷設や駅の新設など、初期投資がかさみます。この投資をできる限り早期に回収するために、便益を享受する乗客から加算運賃を徴収するのです。ただ、この加算運賃は長短両面を抱えています。そこで、加算運賃の是非を考えてみましょう。

 加算運賃を設定すれば、乗客は高めの運賃を支払うことになります。そのため、利用をためらってしまう人もいるでしょう。せっかく新しい鉄道路線ができたのに、運賃が高いイメージがついてしまえば、マイカー利用などを続ける人もいるはずです。そのため、せっかくの新路線を乗客が十分に利用してくれないリスクがあるのです。のちのち加算運賃の引き下げや廃止を行う際にも、鉄道利用になじみが薄ければ乗客増につながりにくくなってしまいます。乗客数が伸び悩めば結果的に鉄道会社も初期投資の回収に時間がかかってしまうことになるのです。

 いっぽう、そもそも加算運賃を設定しない限り採算がとりづらい路線でも、加算運賃を設定することで鉄道会社が整備に踏み切る可能性があります。少し高めの運賃を支払うことになっても、鉄道を利用したいと考える沿線住民もいるでしょう。交通利便性が高まるだけでなく、鉄道整備によって保有する不動産の価値が上昇すれば、少し運賃が高めでエあることなど帳消しになってしまうことも考えられます。鉄道を頻繁に利用する人だけでなく、人口流入によって商業施設が増加するなどして、普段は列車に乗らない人にも恩恵が波及する可能性があります。こうした加算運賃のメリットを活かしつつ、初期投資の回収が進むにつれて運賃を引き下げ、さらなる乗客増につなげてもらいたいと思います。