神戸空港―新神戸駅間のBRT導入で鉄道からバスへのシフトが進むか

バスがまちを変えていく―BRTの導入計画作法 | 中村 文彦, 牧村 和彦, 外山 友里絵 |本 | 通販 | Amazon

BRT導入で新幹線と空港との接続強化となるか

日本では訪日外国人観光客が増加している。関西エリアの神戸空港や関西国際空港を経由して日本旅行を楽しむケースも少なくない。しかし、両空港ともに都市部とのアクセスに課題を抱えている。

神戸市では現在、ポートライナーと地下鉄を乗り継ぐ形で山陽新幹線・新神戸駅と神戸空港の間を移動することとなる。大きな荷物を持った旅行者にとって乗り継ぎは大きなストレスとなるほか、所要時間も長くなってしまう。

そこで、神戸市は、新神戸駅―神戸空港間にBRT(バス高速輸送システム)を導入する方針を示した。BRTを活用すれば乗り換えなしで飛行機と新幹線を乗り継ぐことができ、神戸市エリアを訪れる観光客数の増加に役立つと考えられる。所要時間の短縮により関西国際空港よりも神戸空港を選好する層も増えれば、神戸空港や新神戸駅の活性化にもつながるのではないか。

BRTを導入する上では、専用の車線を確保することが課題となる。しかし、神戸空港―新神戸駅間の道路は車線数が多い区間が長いため、BRT専用車線を確保しやすい。連接バスでBRTを導入できれば輸送力の確保も可能だ。

BRTは鉄道より新規導入しやすい

空港と都市中心部・新幹線駅間のアクセス強化には、関西国際空港も取り組んでいる。しかし、関空では地下鉄なにわ筋線の整備など、鉄道路線の新設によるアクセス強化が主な検討対象となっている。鉄道は整備が進めば大人数を高速で輸送できるメリットがある反面、導入に時間がかかるのが難点だ。

一方、神戸市が導入を検討しているBRTは、既存の道路を活用して専用車線を設けるため、鉄道よりも新規導入しやすい。導入にかかる期間・費用を抑えられることから、柔軟な路線設定にもつながるだろう。鉄道のように途中駅を設定して乗客を拾うことで先行投資や運行コストを回収する必要が乏しいことから、駅と空港を途中停車なしで結びやすくもなる。

観光客数の伸びがいつまで続くのかは不透明であることや、日本では人口減少が進んでいることを考えると、大規模な投資をして空港への新たなアクセス網を強化することは必ずしも得策とは言えない。とはいえ整備を見送れば空港や駅・都市の衰退につながる。神戸市はBRT導入を進めることで、リスクを抑えつつ効率よく都市の魅力を高められるのではないだろうか。

都市部でもBRT導入が加速すれば鉄道のバス転換が進むことも

BRTの導入は、東日本大震災により大きな被害を受けた東北地方太平洋側を中心とする鉄道の代替手段として注目を集めた。鉄道路線を再整備せずBRTに転換する方法では、BRTが走行する専用軌道の用地があらかじめ確保されているメリットがある。また、既存の駅舎を有効活用するなどして、先行投資を抑制できる点も魅力だ。

いっぽう、交通渋滞が激しく、鉄道路線が廃止されるケースも稀な都市部では、BRTの導入を積極的に進めづらい。そのため、BRTはあくまでも地方における交通ネットワークを維持するための手段として考えられてきた側面がある。しかし、神戸市という大都市でBRTが導入されることとなれば、鉄道のBRTへの転換が加速するのではないか。

もちろん、都市部の鉄道でも幹線については利用者数が多いことから、今後も多くの利益を生む路線として鉄道会社が重宝するだろう。しかし、幹線から伸びる支線については、単独での収益力に課題があるところもある。幹線との直通運転を実施している路線については基本的に維持されるだろうが、運行系統が幹線とは別に設定されている支線については、BRTへの転換が検討されるのではないか。

関東に目を向けると東急田園都市線でトラブルが続発するなど、技術者の高齢化などで鉄道設備の保守点検能力に課題があるとの指摘がなされる場合がある。今後も保守点検の質を維持するためには、保守点検が必要な路線を減らす方法も一案だ。多くの利用者を運ぶ幹線における保守点検は最も重視されるべきであるから、支線についてはBRTへの転換を進めてもらいたい。

幸い、鉄道会社の多くは駅へのアクセス手段としてバス路線を整備したいがために、グループにバス会社を抱えているケースが多い。そのため、BRTへの転換を進めても、輸送サービスの提供で利益を上げ続けることができるだろう。鉄道会社としては鉄道路線を積極的に減らすことはためらわれると考えられるが、自社経営の将来を考えたうえでBRTへの転換を活発化させる鉄道会社が出てきてもよいのではないだろうか。