年末年始の終夜運転、なぜ各停だけの鉄道会社が多いの?

緑十字 バルブ表示板 終夜運転(赤)⇔停止(黄) 100×50mm 両面 エンビ 166017

年末年始は初詣などの移動客を運ぶ目的で終夜運転の実施路線あり

日本の鉄道は、基本的に深夜~早朝にかけて列車が運転されない時間帯があります。海外に目を向けると空港と都市部を結ぶ路線などで終夜運転を実施しているケースがありますが、日本では空港アクセスに活用される鉄道路線でも、終電・始発が存在します。

いっぽう、年末年始には終夜運転を実施する鉄道路線が日本でも見られます。初詣などを目的として移動したい客をまとめて輸送することで、十分な収益を確保できるからでしょう。ラッシュアワーには大混雑する主要路線だけでなく、沿線に寺社が多いローカル線でも終夜運転が実施されるケースがあります。

終夜運転では優等種別ゼロの路線が多いのはなぜ?

ローカル線と異なり、利用客の多い主要路線では急行や快速などの優等種別が設定されているケースがほとんどです。乗客の移動距離に応じて利用種別を分散させて混雑率を下げつつ、速達性も確保するためです。

ところが、終夜運転では優等種別がゼロとなる路線が多いです。鉄道各社の終夜運転時の時刻表を見ても、「各停」「普通」といった種別だけになっていることが多いのではないでしょうか。中には遠距離を走る路線も含まれているのに、各停だと不便ではないかと感じるかもしれません。そこで、終夜運転では優等種別がゼロとなる路線が多い理由を探っておきましょう。

まず、各停は案外早いです。もちろん、通勤ラッシュ時などに運転されている各停は、優等種別の待避が多いため、所要時間が長く遅いです。しかし、各停だけのダイヤを設定すれば、停車時間を大幅に短縮できることで速達性もある程度確保できます。

また、通常の停車駅は初詣の際の利用客数を反映していません。駅周辺の人口の多さや、都市中心部のターミナル駅までの所要時間などを勘案しながら停車駅が決定されています。初詣の際に賑わう駅は、寺社の最寄り駅となります。自社の最寄り駅の中には普段は確定しか停車しない駅もあるでしょう。優等種別を運転することで各停の本数が減れば、寺社の最寄り駅や各停の車内が大混雑に見舞われるリスクが高まってしまいます。

さらに、終夜運転時には普段は乗り慣れない路線の列車に乗車する人も多いのではないでしょうか。優等種別には通過駅が存在します。そのため、自分の目的地にどの種別が停車するのかを確認する必要がありますね。もっとも、普段から乗り慣れた路線であれば、自分がよく利用する駅についてはどの種別が停車するかが頭に入っているでしょう。しかし、年末年始くらいしか乗らない路線となると、優等種別の停車駅を知らない人も少なくないはずです。停車駅を勘違いして目的地の駅を通りすぎたり、停車駅が分からずに乗るべき列車探しに苦労したりする人が出るリスクを抑えるうえでも、終夜運転時に各停のみを運行することは理にかなっていると言えます。

早朝・深夜の減便に終夜運転ダイヤを活かしてほしい

終夜運転が実施され各駅停車ばかりのダイヤになるのは基本的に大晦日~元日にかけてのみの路線がほとんどです。ただ、せっかく各停だけのダイヤを設定するのですから、応用範囲を広げて運行の効率化に役立ててほしいと考えています。

具体的には、早朝・深夜の減便に終夜運転ダイヤを活かしてほしいと考えています。早朝や深夜は鉄道利用者が減るため、ラッシュ時はもちろん、日中と比べても列車の運転本数が少なくなります。しかし、主要路線を中心に、終電時間帯付近まで優等種別が多数走っているケースが少なくありません。

もちろん、優等種別で遠くの駅まで運んでほしい人がいるため、遠距離を短時間で走破できる優等種別の存在は必要でしょう。しかし、終電以外は中長距離の列車でも各停を積極的に運転させてほしいと思います。途中駅での接続待ちを減らして速達性を極力確保しつつ、列車の運転本数を減らして運行コストを下げるのです。働き方改革が進められる中、乗務員の深夜勤務を減らす上でも効果的な取り組みではないでしょうか。

路線によっては、回送するくらいなら営業列車として運行している優等種別もあるでしょう。しかし、優等種別が回送列車として折り返して車庫に向かう運用などは、改善の余地があると思います。収益性の高い路線でも、終夜運転ダイヤが設定される年末年始を1つの機会として、早朝・深夜のダイヤ見直しに積極的に取り組む鉄道会社が出てくることを願っています。