鉄道車両のご当地ラッピングのメリット・デメリットとは?

タカ印 ご当地ぶくろ 静岡県2 5-5322

ご当地ラッピングをまとった鉄道車両の魅力とは?

鉄道を利用していると、特殊なラッピングをまとった車両に出会うことがあります。沿線の観光地をPRしたりする列車ですね。鉄道会社が沿線の魅力をPRして利用促進を図るケースのほかにも、沿線の自治体や観光施設、企業などが料金を支払って列車にラッピング広告を掲載する場合があるようです。

ご当地ラッピングをまとった鉄道車両が増えれば、鉄道に乗る楽しみが広がると考えています。というのも、鉄道会社ごとに車両の塗装には傾向があります。同じ傾向の車両がそろっていると各鉄道会社のイメージはわかりやすいのですが、いかんせん駅が殺風景になってしまいがちです。美しいラッピングをまとった車両は鉄道ファンなどから批判されることもありますが、より多くの人に鉄道を身近に感じてもらうためには効果があるのではないでしょうか。

また、直通運転に使用される列車がラッピングされていると、普段はあまり足を運ばないエリアの情報についても知ることができます。直通運転は通勤・通学などの移動時の利便性を高めることだけでなく、より遠くまで鉄道を利用して移動してもらう機会を生んでくれることもメリットです。とはいえ、なかなか自宅や職場などから遠く離れたエリアの観光情報などを得る機会は少ないでしょう。普段から利用する鉄道のラッピング広告を見るだけで中長距離のエリアの観光情報が分かれば、休日などに出かけてみたくなるかもしれません。

鉄道会社はなぜご当地ラッピング列車を走らせるのか

ご当地ラッピングにはマイナス面もあります。鉄道会社としてはラッピング用の特殊な塗装を施した車両を準備するために、通常より多くの塗装コストを負担しなければならないからです。また、イベントの告知などを行う場合は、イベント終了後の塗装変更も必要になります。他にも車両の運用が難しくなるといったことも考えられますね。

また、すでに少し触れましたが鉄道会社のイメージが薄れてしまう可能性があります。ただでさえ直通運転の増加で、他社の車両が走るケースが多くなっている鉄道会社が都市部を中心に多いです。そのため、ラッピング列車も走らせるとなると、鉄道各社をイメージさせるような代表格の車両が減ってしまいます。

しかし、鉄道会社はこうしたデメリットを認識しつつもご当地ラッピング列車を走らせています。その理由を探ってみましょう。

まず、日中時間帯における鉄道利用の促進が挙げられます。通勤・通学時に鉄道を利用している人々は、鉄道の塗装よりも、混雑率の緩和や所要時間の短縮などを求めているケースが多いでしょう。そのため、ラッピングへの関心は薄いはずです。また、鉄道会社としても定期券利用客は安定収益にはなるものの、ラッシュ時のダイヤ設定などに苦慮する割に、客単価は低くなってしまいます。

いっぽうの日中時間帯は、余裕のあるダイヤを設定しながらもラッシュ時と比べて混雑率が大幅に低くなります。そのため、日中の列車の混雑率を高めることで、収益力を高めたいと考えます。日中時間帯に鉄道を利用する層としては専業主婦層などが考えられます。鉄道を単なる輸送手段としてではなく、少し楽しさを感じられる乗り物としてとらえてもらえれば、鉄道を利用して各地に出かけようという意欲が高まるのではないでしょうか。

また、地元自治体との連携も欠かせません。例えば、自治体が沿線に魅力的な観光施設を整備・誘致すれば、鉄道会社は利用客を伸ばすことができます。沿線自治体の魅力を鉄道会社が車両のラッピングを通じて発信することで、沿線自治体との関係性を良好に保つことが期待できます。自治体としても、鉄道車両のラッピングで地域の魅力をPRすれば、関心を持った層が鉄道を利用して足を運んでくれる確率が高いと考えることができます。普段から鉄道を利用している層であれば、足を延ばす形で観光に訪れてもらいやすいからです。実際、鉄道会社による新駅設置や、停車駅の見直しで優等種別が新たに停車するようになった駅の立地自治体では、人口増加の期待が高まります。地方部では路線を廃止する・しないなどで鉄道会社と沿線自治体の関係がこじれることもあり残念ですが、せめて利用客の多い都市部では良好な関係を維持していってもらいたいと思います。