路線網拡大に走る阪急電鉄の意図とは?

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阪急電鉄は路線網拡大に意欲的

鉄道会社は路線網を縮小しているところがほとんどです。人口減少に伴って、赤字ローカル線を中心に配線を進めているからです。しかし、関西には路線網拡大に意欲的な鉄道会社があります。大阪梅田のターミナルと、神戸三宮、京都河原町、宝塚などを結ぶ路線を有する阪急電鉄です。

阪急電鉄が整備を検討している新線は複数あります。まず、十三―新大阪連絡線です。阪急電鉄のターミナルは大阪梅田駅ですが、神戸線・京都線・宝塚線が分岐するのは大阪梅田駅にほど近い十三駅です。ちなみにこの駅、「じゅうさん」ではなく「じゅうそう」と読みます。新大阪駅はご存知の通り、東海道・山陽新幹線が発着するJRの主要駅です。阪急電鉄としては新大阪駅へのアクセス利便性を高めることで乗客増を図りたいのでしょう。

新大阪駅につながる路線と合わせて整備が検討されているのが、なにわ筋線への直通路線です。わざわざ線路の幅を調整してまで、十三駅から関西国際空港につながる難波筋線に直通する列車を走らせたいようです。関空―新大阪間の路線を持つことができれば、増加が続いている外国人観光客の需要を取り込んで成長できるかもしれませんね。

さらに、伊丹空港連絡線の整備も検討しているようです。伊丹空港へのアクセスが改善されれば、確かに利用客は増えるでしょう。ただ、伊丹空港がいつまで存続するかも不透明な中で新設すべき路線かどうかは疑問です。

人口減少社会で路線網拡大を目指す意図とは?

人口減少社会に入っている中、阪急電鉄の沿線でも人口減少が進んでいるところがあります。そんな中でも路線網拡大を目指す意図を考えてみたいと思います。

まず、路線網の充実で沿線の魅力を高める狙いがあると考えられます。空港や新幹線の主要駅へのアクセスを改善できれば、出張の多いビジネスパーソンなどが阪急電鉄沿線に住みたいという気持ちを高めることが考えられます。沿線にレジャー施設や大型商業施設等を開設して魅力度を高める取り組みはすでに多くの鉄道会社が実施済みですから、今後はネットワークで勝負をしたいのではないでしょうか。

また、沿線人口が減少する中で、沿線住民の利用は減ると割り切ったうえで観光需要の取り込みに力を入れているとも言えます。阪急電鉄が新設を検討している路線は基本的に観光客の利用が多く見込めそうなものです。日本の人口が減少しても、訪日外国人観光客が増えれば鉄道の潜在顧客は増え続ける可能性があります。今のうちから先行投資をしておくことで、10年以上先に日本を訪れる外国人がさらに増えた際に、阪急電鉄が空港や新幹線駅へのアクセス手段を豊富に提供して、勢いのある鉄道会社になることを目指していると考えられます。

路線完成時に「負の遺産」となる懸念も

前向きな路線整備計画を立てていることには、一定の評価を与えたいところです。ただ、鉄道路線を新設するには、トンネル工事などを伴うことも考えると長い時間と多額の費用がかかります。そのため、路線が完成した段階で果たして当初見込んだ通りの需要があるかどうかはわかりません。路線が完成した際に「負の遺産」として鉄道事業の足を引っ張ることすら考えられるのです。

また、阪急電鉄は既存の路線網の収益力が低下したとしても、赤字路線ばかりになることは考えづらいです。人口が多く人気も高い大都市の大阪・京都・神戸にアクセスできる路線網を有しているわけですから、ダイヤの見直しなどを適宜行っていくことで黒字を維持できるでしょう。そのため、無理をして新線整備を進めるべきではないと思います。グループには阪神電鉄もありすでに路線網はある程度充実しているわけですから、仮に新線整備計画を実行に移すとしても、慎重に採算計画を検討したうえで進めたもらいたいです。

また、阪急電鉄が新線整備に過剰投資をすることとなれば、他の鉄道会社にも悪影響が及びます。人口が減少する地方部で赤字路線が増えていることから分かる通り、鉄道は設備投資がかさむためある程度乗客をまとめて運ばなければ黒字化できません。路線が増えすぎることで乗客が分散し、結局どの鉄道会社も採算を悪化させる、といった事態が起こらないことを願っています。