近鉄新型特急車両の魅力と戦略

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近鉄大阪線・名古屋線に新型特急投入へ

関西の大手私鉄の筆頭格、近畿日本鉄道が、新型特急車両を導入することとなったようです。何やら車体のメインカラーが赤ということで話題になっているようですね。近鉄特急はオレンジを中心とする塗装が多かっただけに赤は意外なのかもしれません。ただ、近鉄の普通車両はかつて小豆色の塗装が中心でしたので、個人的には赤が主体の塗装は近鉄らしさを表していると思います。

近鉄特急と言えば、伊勢志摩ライナーやアーバンライナー、近年では観光特急しまかぜがあります・アーバンライナーは白系等の塗装ですし、しまかぜは海の雰囲気あふれる青が主体ですね。「近鉄特急=オレンジ塗装」ではないことが分かります。近鉄は路線網が大阪・京都・奈良・名古屋などにわたる広大なものであるだけに、特急の運転距離も長いです。長距離客が車内で快適に過ごせるよう、魅力的な特急車両が導入されてきたことがわかります。

今回新造される特急車両は、大阪難波―名古屋間の大阪線・名古屋線を走る予定とのことです。特急列車の中では京都―賢島を結ぶ便と並んで運転距離が長いですね。かつて存在したノンストップ特急こそ廃止されたものの、停車駅が絞り込まれた名阪特急は、ビジネス需要も取り込んでいます。新型車両の導入でさらに利用客が伸びることが期待されます。

快適性を重視し新幹線への対抗力を強める

大阪―名古屋間と言えば、東海道新幹線が走っています。新大阪・名古屋共に速達性の高い「のぞみ」の停車駅ですから、速達性では近鉄が新幹線を超えることはできません。

そこで近鉄は従来から快適性を重視して新幹線に対抗してきました。快適性と合わせてコスト面でも近鉄の方が安いのですが、リニア中央新幹線が開通するころには東海道新幹線が値下げされる可能性もあります。近鉄としては名阪特急の快適性を高めることで、中長期的な乗客確保に努めたいのでしょう。

新型特急車両には、バックシェルが設けられるようです。バックシェルの存在により、リクライニングを倒しても後ろの座席が狭くならずに済みます。周囲の乗客に気を遣わずにリクライニングを倒せる、というアイデアは、現代らしいと言えるのではないでしょうか。

また、座席幅も従来型車両よりも広くなります。新幹線と比べると乗車時間が長くなるだけに、足腰などへの負担を少しでも軽減しようという試みでしょう。大きな荷物を持った訪日外国人観光客などの需要に対しては、荷物置き場を設置する取り組みが見られます。将来を見据えた新型車両の設計は素晴らしいと思います。

特急料金収入増で鉄道ビジネスを維持する狙いか

近鉄は大手私鉄であり、鉄道事業で黒字を出しています。奈良と大阪を結ぶ奈良線なドドル箱路線を抱えていることが一因ですが、特急料金収入も多いです。中長期的には沿線人口の減少で旅客輸送量は減ると考えられるだけに、特急料金収入を増やして鉄道ビジネスを維持したいのでしょう。

近鉄の特急料金はポイント還元や割引キャンペーン等を除くと最低510円(大人)です。乗車距離が長ければ特急料金も高くなります。そのため、特急利用客からは長距離分の運賃だけでなく、同額かそれ以上の特急料金を徴収できるチャンスがあるのです。旅行など特別な機会だけでなく、通勤や出張などにも活用されている近鉄特急が、魅力度アップにより近鉄の鉄道ビジネスをさらに支える存在になりそうです。

余ったアーバンライナーを他路線に投入する可能性

名阪特急の車両としては、アーバンライナーが快適性の高い車両として活躍してきました。新型車両が導入されればアーバンライナーの出番が減る可能性があります。

すると、京都線や橿原線・鳥羽線など他路線にアーバンライナーが積極投入されることも考えられます。他路線の乗客にとっても、新型車両にこそ乗れなくてもアーバンライナーの運転本数が増えれば通勤などの際により快適な特急利用ができます。すでにラッシュ時には高い混雑率を誇っている近鉄特急ですが、運転本数の増加やさらなる混雑率アップで乗客・鉄道会社がともに利益を享受できるのではないかと考えています。果たしてアーバンライナーや新型特急がどのような運命をたどり、沿線の人々の特急利用意欲を高めるのかに注目していきたいです。