近鉄春ダイヤ改正で特急本数増へ

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京奈特急・京橿特急の併結が解消へ

近鉄が2018年春に2年ぶりの本格的なダイヤ改正を実施することになりました。その中で比較的大きな変更と言えるのが、特急列車の増発です。大幅な増発対象となるのが、近鉄京都線(大和西大寺(奈良市)―京都)です。観光需要を中心に日中も特急利用客を見込みやすい路線です。

京都線では、近鉄奈良駅(奈良線)、橿原神宮前駅(橿原線)からの特急が大和西大寺駅で併結されて運転されていました。この併結を解消して別列車として運転させることで、特急の運転本数が増やされるようです。

併結運転実施時には、全席指定の特急で号車を区別するために1号車・2号車…といった呼び方に加え、A号車・B号車…といった名称が見られました。いったいどの乗車位置で待てば自分の座席に近い扉から乗車できるのかがわかりづらかったと言えます。併結運転が解消されれば、号車番号もわかりやすくなりますね。大和西大寺駅で一方の編成のみが到着した段階で、自分が乗るべき車両が存在せず係員に尋ねる、といった乗客を見ることもなくなるでしょう。

また、併結にかかる時間が短縮されることで、奈良や橿原神宮前から京都方面へ向かう乗客の利便性が向上します。特に奈良―京都間はJRと競合しており、近鉄特急の速達性アップは競争力強化につながると言えます。

特急本数増で観光需要を取り込めるか

特急列車の本数が増えれば、訪日外国人を含めた観光需要を取り込みやすくなると考えられます。列車本数を増やすためには運転士や車掌等の乗務員ののべ勤務時間を伸ばす必要があるため、コストがかかります。コストに見合うだけの利用増につなげられるかが問われることになりそうです。

もっとも、奈良・京都への観光客数自体が増えているため、仮にシェアが高まらなかったとしても着実に乗客が増えると考えられます。併結の解消にとどまらず、車両数の増加などにもつながっていくかもしれませんね。

外国人に対しては、JR乗り放題のJAPAN RAIL PASSへの対抗策として、快適性と速達性を訴えてほしいと思います。車内販売なども適宜実施すれば、利便性向上と合わせて収益機会も増やせるのではないかと思います。

急行の通過待ち増で特急へシフトも

特急の運転本数が増えれば、その分急行や各停が通過待ちをする頻度が高まることになりそうです。改正前のダイヤでは京都―大和西大寺間を特急の待避待ちをせずに走破する急行列車が少なくありませんでした。果たしてダイヤ改正後は、速達性の高い急行がどの程度生き残るのかに注目したいと思います。

そもそも近鉄京都線ではかつて、速達性の高い快速急行が運転されていた時期があります。しかし、特急利用客の減少につながることなどから廃止されました。そのため、急行は通過駅も多いですが、停車駅も多い中程度の速達性の種別です。したがって、待避待ちが増えれば速達性がさらに劣ることとなりかねません。

近鉄としては、表向きは観光需要増への対応として特急の本数を増やすのでしょうが、本音では急行から特急へのシフトも期待しているかもしれません。もっとも、快適性の高い列車が高密度で走ることになれば、利用客にも一定のメリットがあると言えそうです。

特急停車駅・通過駅間の格差拡大が懸念材料

特急の本数が増えて急行の速達性が損なわれれば、特急の停車駅と通過駅との間で格差が拡大することが懸念されます。近鉄京都線の特急停車駅は、京阪電車との乗り換え需要が大きい丹波橋のみです。

ただし、ラッシュ時には京都方面への通勤・通学需要が多く、京都駅からの距離が長めの高の原駅にも特急列車が停車することがあります。特急の運転本数が増えれば、速達性を確保する目的で京奈特急・京阪特急の一部が将来的に日中も高の原駅に停車することになるかもしれませんね。
しかし、その他の駅については特急停車の可能性が低いと思います。急行でも30分程度で京都駅に到着できるからです。ただ、待避待ちにより運転間隔が均等でなくなれば、特定の急行だけが混雑する可能性があります。ホーム長の事情から6両編成以上には増やせない京都線では、日中の急行の混雑率をいかに平準化するかが今後の課題となりそうです。