京王ライナー導入の背景とは?

Bトレインショーティー 京王電鉄 7000系 後期 新塗装 (先頭+中間 2両入り) プラモデル

京王電鉄に有料着席サービスが登場

近年、都市と郊外を結ぶ路線を持つ鉄道会社を中心に、着席サービスを有料で提供するところが増えてきています。ついに、運賃の安さで知られる京王電鉄も、「京王ライナー」を投入して有料着席サービスに取り組むこととなりました。

京王ライナーは通常の特急などに併結する形ではなく、独立した列車として運転されます。運転本数を増やしつつ、ラッシュ時の混雑を避けたいニーズを取り込むことが狙いと考えられます。地方には赤字ローカル線が多いものの、都市部では依然として通勤・通学に鉄道を利用する人が多いです。混雑した車内に長時間いなければならないことを苦痛に感じている人も少なくないでしょう。有料着席サービスは乗客の不満を解消しつつ鉄道会社の利益にもつながりますから、今後も積極的に導入する鉄道会社が出てくることを期待しています。

京王ライナーの料金は400円と、座席指定サービスとしては常識的な金額です。ただし、事前に座席指定券を購入しておかないと、車内で700円を請求されるそうです。また、満席の場合などは700円を支払っても着席サービスを受けられないケースもあり得ます。京王ライナーを利用するなら、あらかじめ座席指定券を購入するだけの時間的余裕を確保しておく必要がありそうです。

時間については、新宿駅の発車時間が統一されている点も魅力です。どの時間帯ならライナーを利用できるのかが明確になっていることで、食事の時間などを計画しやすくなるからです。新宿駅0時発の京王ライナーの設定もあることから、通勤ラッシュから逃れるだけでなく、少しでも早く帰宅したいという乗客のニーズも取り込めると考えられます。

都心付近の駅は大胆に通過し遠近分離を実施

着席サービスを提供する列車の中には、ラッシュの混雑から解放されたいというニーズを満たすことを重視し、速達性は二の次となっているものも見られます。しかし、京王ライナーは高い速達性も確保しています。通勤時間を短縮したいと考えている層にも魅力的な列車と言えるでしょう。

京王ライナーは、本線と相模原線で運転されます。ターミナル駅の新宿の隣の停車駅は、本線が府中、相模原線が京王永山です。いずれも新宿からの距離がかなり離れており、中距離・遠距離通勤者向けに京王ライナーが運転されることとなります。京王電鉄が遠近分離を意識している様子がうかがえます。

ただし、京王ライナーが停車しない主要駅の利用者も、一定のメリットを受けることができます。京王ライナーに乗客がシフトすれば、特急などの混雑率緩和に期待できるからです。また、京王ライナーの収益により京王電鉄の体力が高まれば、駅設備や車両の更新が進み、通勤の快適性が高まる可能性があります。

また、郊外地域では座席指定券なしで京王ライナーを利用できることになっています。そのため、京王ライナーが走ることによって郊外地域間を移動する乗客が不便にならずに済みます。郊外地域では比較的列車の混雑率が低くなりがちなだけに、貴重な乗客を逃さないよう利便性の確保にも取り組んでいるのでしょう。様々な方面に配慮がなされている点でも、京王ライナー導入は評価できると考えています。

新たな収益源としての期待

京王ライナーを投入することで、京王電鉄は新たに座席指定券からの収入を手にすることになります。都市部への人口集中が進んではいるものの、中長期的には人口減少に伴って運賃収入が減少すると考えられます。そのため、鉄道事業内でも収益源を多角化しておくことは大切と言えます。

また、京王電鉄は一部区間で、複々線化を完成させた小田急と競合しています。混雑率の高さで敬遠されていた面もある小田急が利便性を大きく高めることから、京王電鉄も乗客の大量シフトを懸念して京王ライナーを投入した可能性があります。新たな収益源を確保しつつ、従来の運賃収入も確保できることから、京王ライナーの導入には一定の意義があるでしょう。京王ライナーが運転開始後、利用が伸びるのかや、利用者からどのような評価を受けるのかを楽しみにしています。