風っこそうやと宗谷本線の今

今年の夏、JR北海道がちょっと面白い実験を行なったことが話題になりました。

それはJR東日本のトロッコ風列車「びゅうコースター風っこ」の車両を借り受け、前後にJR北海道が改装した観光用車両「北海道の恵み」シリーズの車両を連結。4両編成の観光列車を今まで観光列車をほとんど走らせていなかった宗谷本線に週末限定で投入したのです。

結果的にはかなりの人気を博したようで、著者が列車の撮影に行ったときには毎回満員状態での運行になっていたようでした。

今回はこの列車と宗谷本線・JR北海道のローカル路線の現状について簡単にまとめてみます。

風っこそうやでの試み

風っこそうやはその他のトロッコタイプの列車と同様にのんびりゆっくりなペースで道北の自然を楽しむ形の運行を行ないました。

山間部の軽い峠を越えるところや沿線の見どころの近くを走る際には思い切り速度を落とし、窓を開放している車両では吹き込む風も楽しめるようにしていました。

そしてこの列車が特徴的だったのは、列車運行にあわせ沿線の主立った駅ではプチイベント駅で開催して、列車に乗るだけではない楽しみ方を準備したことです。

運行期間の前半は稚内・音威子府間、後半は旭川・音威子府間を往復運転していましたが、途中停車駅では行きか帰りに必ず一度、長めの停車時間を取って駅ごとのイベントを楽しめるダイヤを組んでいたのです。

「乗り鉄」だけではない旅の楽しみ方を提案したのが、ちょっと新しいタイプの観光列車だったと言えると思います。

北海道は道東のノロッコ号など、いくつかの区間で観光列車を走らせていますが、今回トライしたのが宗谷本線だったのも目新しいところかもしれません。

今までは本格的な観光列車をほとんど走らせたことがなかった路線だからです。

ちなみに風っこそうやはちょうどお昼の時間帯に音威子府駅に到着するようなダイヤが組まれていました。「あの」音威子府の美味しい駅そばが食べられる心憎い演出です。名寄駅では幻になった駅弁の「ニシンカズノコ弁当」の限定販売もありました。

宗谷本線の現状

宗谷本線は一部区間をJR北海道が単独では維持不可能、と表明している路線の一つで、典型的な北海道のローカル線です。

そもそもが沿線の総人口がすごく少ない上に路線長がかなりあるため、どうやっても純粋な運行だけでは収支が合わないのが当然の路線です。

北海道の都市部以外の移動手段はほぼ完全に自家用車になっています。それに比べて本数が少なくどうしても不便な公共交通機関は、よほど長距離の移動でない限り敬遠されがちです。

人口も減っていて乗客は自家用車に流れ、採算が合わないから減便が行なわれてさらに不便になり、それがさらなる乗客の減少に拍車をかける…。そういったネガティブなスパイラルに見事にはまってしまった路線の一つです。

風っこそうやはそういった現状を打破するためのきっかけを模索する実験の一つだったのでしょう。

風っこそうや自体の乗車率を見る限りは試みは成功していたようにも思えます。のんびり沿線の風景を眺めつつの列車旅を楽しむ人口が確かにいることは確認できたでしょう。

今後こういった流れをどうやって他にも波及させていくかが、今後のJR北海道の行く末すら左右してくる重要なファクターになっていくと思います。

ミニフォトレポート

この夏走った風っこそうやを北海道名寄市のサンピラーパークのヒマワリ畑そば、

冬にはラッセル車撮影の名所になる同市の東恵橋から撮影してみたのがこれらの写真です。

開放された窓から外を眺めている人たちがとても気持ちよさそうです。