青函トンネルを走っていた789系電車のいま
北海道新幹線が開通する前、八戸<=>函館、青森<=>函館の区間は在来線の電車特急、スーパー白鳥でカバーしていました。
そこに投入されていたのがオリジナルの789系電車。
固定の6両編成で青函トンネル内では140kmの運転を行なっていた高性能車両です。
新幹線開通後その結構な本数の車両がどこに行ったかというと、今は旭川・札幌間を走る「ライラック」に転用されています。先日の苫小牧小旅行の際、行き・帰りともこの電車を使うことになりました。
旭川・札幌間の特急の主役
旭川・札幌間の特急はまず間違いなくJR北海道の新千歳空港アクセスに次ぐ稼げる列車になっていると思います。シェアを高速バスに奪われているのか、以前よりも少し本数が減っていますが、それでも1時間に最低1本は特急が走る形を維持しています。
本数こそ減っているものの、789系の1000番台を使用するカムイが5両編成、オリジナルの789系を使用するライラックの方は6両編成と長くなっているので、座席のキャパシティ自体はさほど落ち込んではいないと思います。
そういう状況の中、平日昼間でもかなりの乗車率になっているのが確認できました。
以前は785系電車も使われていましたが今の旭川・札幌間の電車特急は789系に統一されていて、785系電車の方は札幌・室蘭間のすずらんに全車転用されています。

元々789系の1000番台の電車はスーパーカムイ向けとして旭川・札幌間の特急用に作られたものでしたが、今はこちらも一部がすずらんのほうに回されているようです。
塗装はそのまま。ラッピングがプラス
ライラックで使われている789系電車はスーパー白鳥で使われていたときの塗装そのままで走っています。
ですが先頭車両の明るい緑の塗装がされている部分の側面に北海道の各地域を象徴するイラストのラッピングが施されるようになりました。

電車の前後左右の側面4つそれぞれで絵柄が違い、宗谷地方、オホーツク地方、上川地方、空知地方、旭川、札幌の6 x 4種類のイラストが描かれています。
それぞれの地域を象徴するような内容が描かれていますし、1つの列車の4箇所で別々の絵柄になっていますから、電車に乗らなくてもそれを目にするだけで楽しめる内容になっていると思います。
ちなみに著者が乗れた車両では、上川のラベンダー、札幌の時計台とクラーク博士像のイラストを確認してきました。

手を入れた範囲は最小限、という感じになっていますが、結構華やかな感じで雰囲気は良かったです。
自由席はカムイ、座席指定するならライラック
旭川・札幌間の電車特急はJRの特急列車としては異例なぐらいに自由席の割合が高いのがすごく大きな特徴だと思います。まともに競争相手になる高速バスなどの意識してのことなのかもしれません。
走る頻度が特急としては高めですから時間を決めずに駅に来て、やって来た列車を使う、といった利用のされ方も考えているのかもしれません。
789系1000番台を使うカムイの方は5両編成のうち指定席は1両のみ。4両が自由席になっていて、座席指定を取らないときの座席のキャパシティは実は編成の短いカムイの方が上になっています。
ライラックの方は6両のうち3両が自由席。2両が指定席で1両が1部グリーン車、1部指定席となっています。
グリーン席を配した車両は1両の半分近くが多目的スペースになっていたりするのも面白いところかもしれません。
元々オリジナルの789系電車は、青函トンネルの勾配区間でも140km出せるような動力性能を実現する構成になっています。このため最近の電車としては電動車が多めの4M2T構成になっているので加速性能も良く、最高速度を120kmに抑えつつ停車駅が増えた旭川・札幌間も1時間25分の定刻運転を楽々こなしている感じでした。