2021年春のダイヤ改正で宗谷本線にH100系本格投入
先日、3月13日にJRグループ毎年恒例のダイヤ改正が行なわれました。JR北海道も今年はかなり大々的にダイヤに手が入っています。
新型コロナウィルスの流行で人の移動が大幅に減った影響をモロに受けているJR北海道は、長距離の特急列車の減便・編成の短縮を行なって経費節減を図るちょっと寂しいニュースが大きく取り上げられています。
そんな厳しい状況の中でもポジティブなニュースも。
長らくJR北海道の非電化区間の輸送の主力を担ってきたキハ40系のディーゼルカーの多くが引退することになり、代わりに新造車両のH100系が宗谷本線、石北本線などに本格投入されることになったのです。

普通列車用のディーゼルカーとしてはかなり久々の新造車両です。
H100系とは
H100系ディーゼルカーはJR東日本が採用したディーゼルエレクトリック方式の車両GV-E400型の基本設計をそのまま流用した車両です。
各所に寒冷地仕様、ではなく「酷寒地」仕様のモディファイを施して北海道の冬に対応させたものです。
東北で走っていた列車に少し変更を加えた程度ではお話にならなかった経験がありますから(最初の電車特急にて)、そのノウハウはしっかり活かされていると思います。また、先行試作機で丸々一冬以上試験走行も行なっての採用です。
H100系はハイブリッドではなく純粋なディーゼルエレクトリック式です。走行用の電力を貯めるバッテリーを持っていませんし、積んでいるディーゼルエンジンでの直接駆動も行ないません。
ディーゼルエンジンは450馬力相当のかなりハイパワーなものが搭載されていますがこちらは発電専用。大容量の発電機に直結されています。
発電した電力を一旦直流に整流したあとVVVF制御で交流モーターを回します。駆動用モーターは105kW出力のものを2基搭載します。
同様のタイプの列車の扱いがJRのどこかの会社で「電車」に変わったらしいのですが、実際中身の方はその通りでH100系も「架線とパンタグラフがいらない電車」と考えると中身が分りやすいです。
車両の愛称は「DECMO」。Diesel Electric Car with MOtorsの頭文字を取ったものです。

ボディは通勤電車とそっくり
H100系のボディの作りはJR東日本の列車が元になっていることから予想できますが、雰囲気は通勤電車とそっくりです。特に屋根の上なんかはパンタグラフを持たない車両と同じ雰囲気。スッキリしていて今風なデザインです。
デッキレスの構造になっていますので、ドアの開閉は乗客自らが行なう半自動方式になりました。

連結器も通勤電車などと同じ新しい形状ですね。

一体化している排障器とスノープラウの形はこんな感じで、やはりスッキリしたデザインです。ただ、JR北海道では日常的にエゾシカなどとの衝突がありますので、かなり頑丈そうな作りです。

エアコンも
宗谷本線などを走っていた普通列車には今までは基本エアコンが積まれていませんでした。昔ながらの扇風機+窓を開けての通気で夏の暑さは乗り切ってきた形ですね。
夏の最高気温がまだマシな北海道ならではの設備の内容だったのかもしれません。でも、その分、道民って暑さに弱いんですけどね…。
H100系は宗谷本線で使われる普通車としては初めてエアコンを備えた車両になるのではないかと思います。
停車中は普通のディーゼルカーっぽい音
まあ、当たり前のことなのだと思いますが停車中の車両はエンジンがかかったままで、新しい形式の車両って雰囲気はありませんでした。ディーゼルエンジンらしい音が結構うるさかったです。
ただ、新しいエンジンらしくややドライ&硬質でキレの良い音だったと感じました。
走行用バッテリーを積んだハイブリッドなら「アイドリングストップ」が出来るのかもしれませんけどね。
速達化
JR北海道では利用が非常に少なくなった無人駅の廃止が進みました。これに加え加速の良いH100系の投入で宗谷本線の普通列車、快速列車はかなりスピードアップが図られています。
旭川・名寄間では快速の速達タイプが最短1時間11分、普通列車でも1時間30分で走るものがあります。快速はかつての急行列車より速くなっているかもしれません。