千鳥足の急行「ちどり号」

2017年12月26日

日本には地味ながらおもしろい列車がたくさんありました。ところが、便利で速い列車が誕生する度にそのような列車は消える運命にあるみたいです。今回紹介する急行「ちどり号」もその一つです。私が乗車した1997年の時、急行「ちどり号」は広島から芸備線を通り、山奥の備後落合まで結んでいました。最盛期の頃は、広島と山陰との重要なパイプを担っていました。しかし、乗降客の減少により2002年に廃止されました。

私は広島旅行のついでに急行「ちどり号」に乗車しました。わざわざこの列車に乗るために、途中の志和口駅まで鈍行で行きました。この志和口駅から、折り返す形で広島行きの急行「ちどり号」に乗ったわけです。

夏の厳しい日照りに耐えて待つこと20分、白地に緑色の帯が入った古いディーゼルカーが入線してきました。それでも「急行」という赤字が本当に映えます。急行「砂丘号」の時もそうでしたが、古いディーゼルカーでも「急行」という表示があれば、それだけで誇らしく見えます。車内に入るとリクライニングシートが並びます。ところが、改造車のせいか座席と窓が全く合っていなかったので車窓は見づらかったです。

さて、この急行「ちどり号」はまさしく「千鳥足」だったのです。道路が見えるところでは、思いっきりエンジン音を上げて、スピードを出します。ライバルの自動車もビュンビュン抜かしていきます。古いディーゼルカーとは思えないほどです。ところが、道路が見えなくなると、急にスピードが落ちます。道路が見えると速くなり、道路が見えなくなると失速。まるで、先生が見ている時だけ勉強するダメ学生みたいです。

「この列車は速いのか遅いのか、どうなのだ」と首をひねりながら考えると、いつの間にか広島駅に到着しました。残念ながら今でもこの問題は解けていません。もう、実際に乗車して確かめることもできません。いろんな人に急行「ちどり号」の思い出を聞いて回ることにしましょう。