北九州のDJ電車

2017年12月26日

北九州のDJ電車

中学生の時、今は無き西鉄北九州線に乗りました。この路線は路面電車方式で、最盛期には折尾から門司まで北九州の街を広範囲に結んでいました。ところが、自動車の普及により路線が次々と廃止。最終的に黒崎駅前から折尾までの約5kmが残りました。

その残りの部分も廃止されると聞き、西鉄北九州線に乗ることに決めたのです。黒崎駅前の近代的なホームには昔ながらの路面電車がポツンと停まっていました。ここまでは変わったことはありませんでした。

ところが、電車が発車すると、運転手が喋る、喋る。車両の前面に「ワンマン」と書かれていましたが、放送テープはなかったのです。

「お待たせしました。折尾行きです~」「次は車庫前、黒崎車庫前~」これだけならまだ分かります。ところが実際は違っていたのです。走っている間も「中継進行、安全よし」このような運転用語もマイクを通じて聞こえてくるのです。これには本当に驚きました。けど、運転手が楽しそうに喋っていました。まさしく運転手の独壇場です。

また、路面電車なのに、道路は走らず普通の線路を走ります。ですので、路面電車の割にスピードが早かったことを覚えています。重々しく鳴り響くモーター音とひっきりなしに聞こえてくる車掌の声。まるで、どこかのライブコンサートを聞いているような感じです。言うなれば、走るDJ電車と表現できるでしょう。電車はあっ、という間に折尾駅に。「もうちょっと、運転手の名調子が聞きたかったなあ」と後ろ髪を引っ張られる思いで折尾駅を後にしました。

さて、北九州線が廃止され10年以上が経ちました。そこで、乗車時の思い出を蘇らすために、YOUTUBEで「西鉄北九州線」を検索。確かに動画はいくつか出ており、運転手DJもきちんと記録されていました。ところが、何かが違うのです。「こんなに迫力がなかったのかなあ」と。やはり、技術が向上してもライブ演奏には負けるみたいです。ところが、こちらのライブ演奏は二度と聞けません。そう考えると、少し切なく感じるのです。